2回のロールシャッハ・テストを通して買い物依存者の人格特性を考察する

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  • Considering the Personality Traits of a Person with CompulsiveBuying Disorder through Two Rorschach Tests

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抄録

物質使用障害者の治療において,生きる上での問題の解消にアディクションを使用している場合,治療の際に人格特性を理解する必要性があると指摘されている。筆者は,買い物依存者に対しても同様に人格特性の理解は重要ではないかと考え,本稿では1 事例の2 回のロールシャッハ法を比較検討した。その結果,対象との融合への希求,それゆえ生じる呑み込まれる不安が問題として挙げられた。また,その防衛として部分化が使われ,同性愛などが生じた。しかし,同性愛的関係が揺らぐと,その不安定さから逃れるために,目の前の部分的な対象との融合関係へ没入した。本事例の問題の本質は,「何かに依存する」というような対象との分離を前提にしての対象関係にあるのではなく,分離以前の溶け込み,一体化,呑み込まれるような世界に生きている点にあると考えられた。本研究から,このような人格構造の力動的特徴が買い物依存者にある可能性が示唆された。

買い物依存

ロールシャッハ・テスト

再発

対象との融合

identifier:DK005100011511

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