「愛らしき口もと目は緑」について

書誌事項

タイトル別名
  • 「 アイラシキ クチ モト メ ワ ミドリ 」 ニ ツイテ
  • On “Pretty Mouth and Green My Eyes”

この論文をさがす

抄録

J・D・サリンジャーの「愛らしき口もと目は緑」という短編小説は、ほとんど全ての作品において若者ばかりを描いてきたサリンジャーにとっては、大人の男女の情事を扱っているという点で極めて異質な作品である。これまで多くの批評家は、サリンジャーがその作品中でずっと描き続けた「無垢と欺瞞」といったテーマからこの作品を解釈しているが、本論文ではそれ以外の解釈の可能性を追求している。まず、この作品を解釈する際に、物語のエンディングにおいてアーサーがリーに対して、なぜジョーニーが帰宅したと嘘をついたのかが重要となることを指摘した上で、それはアーサーがリーを心配させないためについた嘘であったという可能性、アーサーの精神的破綻を示すものであるという可能性、さらに、実はアーサーは巧妙な策士であったという可能性を提起している。結論としては、これまでほとんど批評家によって指摘されてこなかった、実はアーサーは巧妙な策士であったという解釈が可能であることを論証している。

サリンジャー

「愛らしき口もと目は緑」

アーサーの嘘

コンテクスト

identifier:BO010700011473

収録刊行物

  • 文学部論集

    文学部論集 107 45-61, 2023-03-01

    佛教大学文学部

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ