経路研究における二元対立と二面性 : Garud & Karnøe(2001)をもとにして

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タイトル別名
  • Dualism and Duality in Path Study : Based on Garud & Karnøe (2001)
  • 経路研究における二元対立と二面性 : Garud & Karnoe (2001)をもとにして
  • ケイロ ケンキュウ ニ オケル ニゲン タイリツ ト ニメンセイ : Garud & Karnoe (2001)オ モト ニ シテ

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抄録

本稿は,Garud & Karnøe(2001)をレビューすることにより,経路依存性と経路創造との「二元対立」を議論し,更に経路研究におけるメタ理論と研究者の立ち位置との「二面性」を明らかにするものである。経路依存性では,経路は,過去に発生した出来事の積み重ねとその積み重ねによって醸成される自己強化メカニズムにより徐々に依存的に形成してきた歴史的なプロセスと見做される。一方,経路創造では,経路は,起業家が主体的・再帰的に既存の経路構造から逸脱し,新しくかつ絶え間なく構築していく未来志向のプロセスであると考えられる。メタ理論とりわけ人間論に遡及すると,経路依存性は,客観主義・決定論に依拠する理論であるのに対し,経路創造は,主観主義・主意主義に依拠する理論であると捉えることができる。また,方法論からみれば,決定論的経路依存性では,人間アタクーの主体性・主観性を排除し経路の歴史的形成を客観的に記述する研究方法をとる理論である。その際に,研究者は「部外者視点」に立って経路形成過程を客観的に記述する。一方,主意主義的な経路創造は,過去から現在,そして未来を繋げていく起業家の主体性を重要視する理論である。その時に,研究者は「内部者視点」に立って解釈主義的なケース・スタディやナラティブ・アプローチなどを通じて彼ら彼女らの体験を追体験する研究方法をとる。本論稿は,メタ理論に基づいて議論したこととして,経路依存性と経路創造とを再統合する重要な礎を提供するものである。

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