「戦後社会の変容と学習指導要領に見る教育課程編成と教育方法」

書誌事項

タイトル別名
  • 「センゴ シャカイ ノ ヘンヨウ ト ガクシュウ シドウ ヨウリョウ ニ ミル キョウイク カテイ ヘンセイ ト キョウイク ホウホウ」
  • Curriculum Organization and Educational Methods Seen in the Transformation of Postwar Society and Courses of Study

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抄録

アジア・太平洋戦争敗戦以降、日本は「第二の開国」とも言われる民主主義国家・社会建設に向けて再出発した。明治以来の急激な近代化とそれを権威付け、正当化するための「家族国家観」にもとづく社会システムの構築は「天皇制」を「国体」とする矛盾をはらみつつ、アジアとしては唯一西洋的資本主義導入に成功し、帝国主義国家、列強の一員となった。そのカタストロフィーは軍事、全体主義の天皇制ファシズムとも呼ばれた体制の崩壊であった。戦後の再出発は、そうした反省に立って「人類普遍の原理」として民主主義の理念に準ずるとして、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼」し、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認」(「日本国憲法」前文)し続ける国家・社会、国民の育成を教育に託した。学習指導要領の改訂でもそれらは確認されながらも、その時の政治・社会情勢などによって修正、変更がなされたが、徐々に偏狭なナショナリズムが台頭しており新自由主義に基づく教育政策、「特別な教科 道徳」設置に見るように政治による教育内容への介入も激しくなってきた。このため、学校教育を中心とする公教育の公共性、政治的中立性などが棄損されている。加えて、急激なIT関連産業の普及と生産、生活構造の変化が社会の在り方に影響を与え、学校ではどのような人間育成、そのための学力や資質形成をどうするかが厳しく問われている。本研究では、こうした問題意識に立ち、今後の公教育をどう構築すればいいのかの指針を考えるためにも、学習指導要領の変遷に着目して教育課程編成、教育方法などがどのような道をたどってきたのか、その論理はいかなるものであったのかを検討した。

収録刊行物

  • 科学/人間

    科学/人間 52 043-087, 2023-03

    関東学院大学理工学部建築・環境学部教養学会

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