感染の再発を認めた化膿性仙腸関節炎の13歳男児の1 例

書誌事項

タイトル別名
  • CASE REPORT OF A 13-YEAR-OLD BOY WITH RECURRENT PYOGENIC SACROILIITIS

この論文をさがす

抄録

症例は生来健康な13歳男児.入院10日前に左臀部を打撲し, 4 日前に左臀部痛, 3 日前に発熱を認め歩行困難となった.血液検査,腰部単純MRIで左急性化膿性仙腸関節炎の診断とし入院した.血液培養からは感受性良好な黄色ブドウ球菌が同定され,セファゾリン(CEZ)を4 週間,セファクロル(CCL)を2 週間投与し治療を終了した.入院中は疼痛コントロールのため整形外科へ併診し,キシロカインの局部注射を行った.治療終了翌日から部活動を再開し, 9 日目から左臀部痛が出現し,10日目から発熱し,血液検査と腰部造影MRIで仙腸関節炎の再燃と診断した.クリンダマイシン(CLDM)で治療を開始し,薬疹のためスルバクタム/ アンピシリン(SBT/ABPC)に変更し経静脈的に計4 週間,その後CCLを8 週間投与して治療を終了し,以降の再発はなかった.再発時は入院早期から理学療法士の介入を行い,段階的に安静度をあげていった.仙腸関節炎は化膿性関節炎全体の1 ~ 2 %であり,またその内再発は13%とさらに稀である.本疾患の治療は十分な安静と早期からの抗菌薬投与である.本症例は発症から比較的早期に診断され,十分な抗菌薬投与期間をとったにも関わらず再発した.再発のリスクを下げるためには,十分な抗菌薬の投与のみならず,鎮痛薬の仕様は最小限にとどめ、使用した際には痛みの過小評価の可能性に留意することや造影MRIによる評価,慎重な運動再開を行う必要性があると考えられた.

収録刊行物

  • 横浜医学

    横浜医学 74 (2), 73-78, 2023-04-30

    横浜市立大学医学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ