方言史料として観た角筆文献

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タイトル別名
  • Using Stylus-impressed Documents as Historical Data for the Study of Dialect
  • ホウゲン シリョウ ト シテ ミタ カクヒツ ブンケン

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抄録

方言史の研究資料として角筆文献が有用であることを、オ段長音の開合の問題を例として考える。 先ず、鳥取県金剛幢院の角筆文献「禮記」(天明七年坂本、安政三年頃書入れ)における、オ段長音の表記上の原則を指摘し、次に、そこに現れた二事象について、それぞれ角筆文献によると、かつて全国的に行われていたであろうことを説き、毛筆文献でも口頭語を反映する資料に存することを述べ、それが現代語方言と繋がりのあることを指摘する。 二事象の第一は、オ段拗長音、特に合音をウ段長音に発音する現象であり、第二は、オ段長音の合音を短呼する現象である。この現象は、文献上では、オ段長音が発生した当初から、開音と区別する場合、知識音としてでなく口頭語の場では行われ、それが現代語方言に残ったとする。特に、第一の事象は、現代語方言で開合を区別する、九州地方と新潟県の一部等の地方には残っている。

収録刊行物

  • 国語学

    国語学 171 1-30, 1992-12-31

    国語学会

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