(研究ノート)江原道における日本人地主と朝鮮農民の生活について : 在朝日本人 : 農業・農村に見る植民地支配の特質研究に関連して

書誌事項

タイトル別名
  • On the Japanese Landlords and Life of Korean Farmers in Gangwon-do Japanese Residents in Korea: In Relation to Research on the Characteristics of Colonial Rule Seen in Agriculture and Rural Areas

抄録

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[要旨] 日本人の朝鮮移住は1876(明治9)の日朝修好条規締結で緒が開かれ、1910(明治43)年の韓国併合で本格化した。農業移民が国策として推進され、日本人大地主も数多く生まれた。日本人地主は灌漑・干拓など農業投資とともに水利組合の設立を通じて朝鮮人農民を小作として従属させ、利益を得た。その一方で朝鮮農民の多くは計6割を超す小作料や水利費負担、高利の借入金返済で貧窮生活を送った。朝鮮総督府は植民地統治下の生活状態を知るため集落調査を実施したが、生活実態を把握するまでには至らなかった。大阪の米穀商出身の藤井寛太郎は、朝鮮中北部に位置し農民の貧窮度も高かった江原道に約4千町歩の農場を開設し、蒙利面積1万町歩超の水利組合を組織した。藤井は綿密な指導・施設整備などを通じて小作人を効率的に管理し高い生産力を獲得したが、窮乏化の根本原因である零細性の克服・改善については自作農への転換を促しつつも限定的だった。

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