高齢者の特発性非特異性間質性肺炎の一例

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抄録

高知赤十字病院

89 歳女性.X 年 10 月に労作時呼吸困難が出現し,CT で両側下葉優位の気管支血管束に沿った網状影・浸潤影と牽引性気管支拡張像を認め,線維性非特異性間質性肺炎(NSIP)が考えられた.抗 SS-A 抗体が陽性だったがシェーグレン症候群の診断基準は満たさず,特発性 NSIP と診断した.本症例は認知症などの基礎疾患を持つ高齢者であったが,症状と肺病変の悪化を認め治療介入が必要と考えた.入院にて少量ステロイドと免疫抑制薬の併用療法を開始し,退院時には在宅酸素療法を導入した.その後は,外来にて治療を継続し,経時的に呼吸困難は改善し,HRCT の陰影および KL-6 の値も改善を認めた.経過中,腎機能低下のためタクロリムスを減量し,糖尿病の悪化に対してシタグリプチンを再開したが,その他感染 症など大きな有害事象は認めなかった.高齢者の間質性肺炎の治療について定まった見解は無いが,少量ステロイドと免疫抑制薬の併用療法を選択することで,比較的安全に有効な治療を行うことができた.

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