魚嫌いの英雄たち : 古代ギリシア文学における食文化についての考察

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  • Food Culture in Ancient Greek Literature

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本稿では古代ギリシアの吟遊詩人ホメロスによる英雄叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』に共通してみられる「英雄が魚を食べない」という一つの特徴に着目し、その理由を明らかにしようと試みた。 古代ギリシアにおいて、海産物が盛んに食べられていたことは、当時の料理書やギリシア喜劇といった文献や考古学的発掘などからも明らかであるが、奇妙なことにホメロスには魚食を示唆する場面は比喩表現などわずかにしか見られず、英雄が海産物を食べる場面は存在しない。 本稿ではまず、ホメロスの英雄叙事詩について考察を進めたのち、ホメロス以後の英雄叙事詩、ギリシア悲劇、喜劇、小説、哲学といった異なるジャンルの文献も検討した。その結果、「英雄が魚を食べない」という特徴がホメロス以外にも見られることを確認し、そうした描写の背景にある意図の考察を行った。

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