養成教育における「経験」と「専門性」に関するシステム論的考察 : 保育者養成校教員は何を「養成」してきたのか

書誌事項

タイトル別名
  • Consideration on “Experience” and “Specialty” in Training Education : What have the Teachers of Training School Trained?
  • ヨウセイ キョウイク ニオケル 「ケイケン」 ト 「センモンセイ」 ニカンスル システムロンテキ コウサツ : ホイクシャ ヨウセイコウ キョウイン ワ ナニ オ 「ヨウセイ」 シテキタノカ

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抄録

本稿は養成課程、とりわけ保育士養成課程および教職課程(幼稚園教諭)において、従来から指摘されてきた「養成」における喫緊の課題について整理することを主たる目的とする。 前号(本学『紀要』64号)拙稿にて、アフター・コロナ、New Normalといった新たな時代状況に応じた教育学的なメタ理論と次代に向けた「人間形成論」について考察し、現在の「養成教育」が直面する教育(学)的・人間形成論的な難問とその外郭に関して「試論的」に模索・提示した。本論ではそれに連なるカタチで養成教育が直面する最新の課題について継続的に探究を試みる。 2019年を目途にあらゆる学校段階で、特に幼稚園教育要領や学習指導要領が大幅に見直される過程において学力観(資質・能力へ)の転換やカリキュラムマネジメントなど「教科」と「領域」双方にかかわるアプローチの模索が打ち出された。その直後2020年、全世界が直面した未曽有の事態(コロナ禍)によって「人が人を教える」という行為そのもの=教育や人材育成にかかわる理論の信憑性と限界が徐々に指摘され始めている。本稿では、今や高等教育段階においても遠隔授業等で一層強化され急速に表面化してきたICT等の教育テクノロジー導入と、その対極にある「対人臨床」(生身の人、その直接の「かかわり」)という面にとどまらず、カリキュラムや学習成果という概念、さらにはこの度のロシアによるウクライナ侵攻で露見した各国・民族にとっての「文化(伝達)」という視点も併せ、改めて「人が人を育てる」上で必要となる条件や、現時点で我が国(日本)の養成教育(または人材育成)が内包する根本的な課題についてシステム論的な見地から整理し明らかにした。

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