亜全摘出後11年以上再発なく経過している視床発生のロゼット形成性グリア神経細胞腫瘍 : 症例報告と文献レビュー

書誌事項

タイトル別名
  • Thalamic rosette-forming glioneuronal tumor stable for more than 11 years after subtotal removal: Case report and review of literature

この論文をさがす

抄録

ロゼット形成性グリア神経細胞腫瘍は稀な腫瘍で,緩徐に発育し(WHO grade 1),後頭蓋窩に好発する.我々は,亜全摘出後11年以上再発なく経過する,視床を起源とした稀なロゼット形成性グリア神経細胞腫瘍を経験したため報告する.患者は20歳代前半の女性で,6カ月前からの記憶障害,頭痛,霧視を自覚し当科を受診した.Magnetic resonance imaging (MRI)では閉塞性水頭症,18mmの右視床から生じた非嚢胞性第三脳室腫瘍を認めた.病変は,T1強調像で等信号,T2強調像では高信号を呈し,ガドリニウムによる造影効果は認めなかった.右側からのtrans-ventricular subchoroidal approachにより,視床後壁にごく少量の遺残を残して,柔らかい腫瘍を亜全摘出した.組織学的には,周囲に好酸球性神経細胞性コアや小血管コアを伴うロゼットを含めたalveolar component,および毛様細胞性星細胞腫に類似した充実性成分で構成されていた.ロゼットを構成する細胞は,Olig-2,MAP,synaptophysinが陽性で,Ki-67 indexは1%であった.術後,症状は消失した.術後11年3か月後のMRIでは再発なく経過していた.本症例は,ロゼット形成性グリア神経細胞腫瘍の発生部位としては稀な視床から発生し,亜全摘出後11年経過しても再発なく経過している点において,極めて稀な症例である.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ