カープが勝つとカープファンの仕事ははかどるのか?-スポーツ場面の提示によって生起した感情が認知課題遂行に与える影響-

書誌事項

タイトル別名
  • Do Carp fans become more productive when the Carp win?: The effect of affects generated by the presentation of sports scenes on performance of cognitive task
  • カープ ガ カツ ト カープファン ノ シゴト ワ ハカドル ノ カ? : スポーツ バメン ノ テイジ ニ ヨッテ セイキ シタ カンジョウ ガ ニンチ カダイ スイコウ ニ アタエル エイキョウ

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抄録

ひいきのスポーツチームが試合に勝利するとそのファンにはポジティブな感情が生起するだろ う。また,その感情の強度は,その人がどの程度のファンなのかによっても異なると考えられる。本研究では,ポジティブ感情を経験することにより個人の思考-行動レパートリーが広がると仮定する「拡張-形成理論」にもとづき,広島東洋カープ(以下,カープ)が読売ジャイアンツ(以下,ジャイアンツ)に大勝する記事(ポジティブ感情条件),カープがジャイアンツに大敗する記事(ネガティブ感情条件),カープ関連施設の記事(ニュートラル感情条件)の提示によって感情を操作することが,チームへの同一化の程度が異なるカープファンの認知課題成績(あるテーマに関する意見の記述)にどのように影響するかを検討した。その結果,ニュートラル感情条件において,カープへの同一化の程度が比較的高いファン層は,同一化の程度が低いファン層やカープに無関心な層よりも自分の信念と一致する意見を多く産出する傾向にあった。また,同一化の程度が低いファン層では,ポジティブ感情条件においてニュートラル感情条件よりも自分の信念と不一致しない意見数が多くなる傾向が認められた。この結果は,過度な高覚醒ポジティブ感情によって課題遂行が阻害され,適度な高覚醒ポジティブ感情によって課題遂行の向上が認められたものであると解釈された。

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