医療用電子線線形加速器で発生する中性子線の平均エネルギー

書誌事項

タイトル別名
  • Mean Energy of Neutrons from an Electron Linear Accelerator for Radiation Therapy

この論文をさがす

説明

放射線治療に用いられる医療用電子線線形加速器を加速エネルギー10 MeVで運転し治療用x線を発生させる時に光核反応によって発生する熱中性子のフルエンス率と全中性子の平均エネルギーを実験的に推定した。熱中性子フルエンス率は中性子を照射したインジウム(In)金属箔の中で生じた^<116ml>In(半減期,54.29 min)からのγ線を測定して推定した。中性子平均エネルギーは熱中性子フルエンス率の20cm厚のポリエチレンブロックにおける熱中性子フルエンス率の減弱係数から推定した。ポリエチレンブロックの表面の中心はアイソセンターに置いた。ポリエチレンブロックは側面と底面(治療台の下)に10cm厚のホウ酸を置き熱中性子を遮蔽した。中性子平均エネルギーの推定において,ポリエチレンブロックの熱中性子は全て加速器のヘッド部からきたものと仮定した。γ線は15cm厚の鉛ブロックで遮蔽されたGe検出器を用いて測定した。測定した^<116ml>In生成率から推定した熱中性子フルエンス率は,照射野サイズ10cm×10cm,線量率2Gy/minで照射中のポリエチレンブロック表面から2cmの深さで(7.1±0.4)×10^8 m^<-2>s^<-1>であった。ポリエチレンによる熱中性子フルエンス率の減弱曲線から推定したポリエチレンブロック表面に入射した中性子の平均エネルギーは照射野10×10cm^2で1.22±0.02 MeVであった。この中性子平均エネルギーは3cm厚の銅フィルターによって1.00±0.03 MeVまでに下がった。一方,5cm厚のホウ酸フィルターによって,1.34±0.03 MeVまで上がった。この結果は,銅フィルターによる速中性子の減速,ならびにホウ酸フィルターによる熱中性子の吸収の効果を表していると考えられる。照射野を5cm×5cm,10cm×10cmならびに15cm×15cmに変えて調べた中性子の平均エネルギーはほぼ一致していた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ