同性カップルの事実婚としての法的保護 : 二つの事例を素材として

書誌事項

タイトル別名
  • Legal Protection of Same-Sex Couple as de facto Marriage : through Material of Two Cases
  • ドウセイ カップル ノ ジジツコン ト シテ ノ ホウテキ ホゴ : フタツ ノ ジレイ オ ソザイ ト シテ

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説明

同性カップルの一方が共同生活を一方的に解消した事案で、当該関係を内縁に準じた関係あるいは婚姻に準じた関係と認定し、他方からの損害賠償請求を認める判決がある一方、殺人罪の被害者が同性カップルの当事者であったことから、「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に該当しないとして、犯罪被害者の遺族給付金の受給資格を否定する判決もある。後者は「同性間の共同生活関係が婚姻関係と同視し得るものであるとの社会通念」が形成されていないことを理由とする。しかし、社会通念=多数派に依拠することは、歴史的に差別されてきた性的マイノリティへのスティグマを温存する。もともと日本の内縁保護法理は、判例及び社会立法によって、婚姻の届出をしない当事者の家族としての共同生活を保障してきたのだから、パートナーシップ制度や同性婚が導入されていない現段階だからこそ、内縁保護法理を用いて、当事者の共同生活を法的に保護すべきである。同性カップルの共同生活について、事実婚として法的保護を行うことは、同性婚を導入する一つの契機になると同時に、それ自体が多元的な生活保障を構築することにつながるものと考える。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 127 (3-4), 449-478, 2021-02-19

    法学新報編集委員会

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