浮葉および抽水植生が流動と溶存酸素濃度に与える影響 : ハス群落を例に

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of floating-leaved and emergent vegetation on flow and dissolved oxygen concentration : Case study of the lotus stand
  • ウキハ オヨビ チュウスイショクセイ ガ リュウドウ ト ヨウゾンサンソ ノウド ニ アタエル エイキョウ : ハス グンラク オ レイ ニ

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抄録

湖沼において浮葉植物と抽水植物が底層の流動と溶存酸素濃度に与える影響を比較するために,手賀沼のハス群落を対象に,浮葉状態・抽水状態・抽水葉の立ち枯れ状態にある時期に群落の密度,平均的な流れ,溶存酸素濃度,底質などを分析した。底質については還元状態の指標となる硫化物やメタンも分析した。群落内外での流れは,浮葉時には葉が水面を覆う事で吹送流などを抑制しており,群落内で底層・表層の両方で流れの低下が確認された。同時に,浮葉時は単位面積当りに占める葉柄断面積が抽水時よりも低いにも関わらず,最も高い抵抗性を示した。抽水時および枯死時の流速は表層が底層より相対的に速くなり,葉柄断面積に比例して抵抗性が増加した。溶存酸素濃度は浮葉・抽水時に群落内で低下した。水温は抽水時が最も高かったが,溶存酸素濃度の低下割合は浮葉時の方が有意に高かった。以上よりハス群落においては抽水状態より浮葉状態の方が流動や溶存酸素を低下させる度合いが大きいと考えられた。10月に採取した底質から発生した気体は95.0%,12月採取分では74.5%がメタンだったことから,ハス群落の底質は周年,非常に還元的な状態にあることが分かった。

収録刊行物

  • 陸水學雜誌

    陸水學雜誌 83 (1), 1-13, 2022-02

    松本 : 日本陸水学会

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