製品開発に関する調査2022 : 16年間の変化傾向と単純集計の結果

書誌事項

タイトル別名
  • セイヒン カイハツ ニ カンスル チョウサ 2022 : 16ネンカン ノ ヘンカ ケイコウ ト タンジュン シュウケイ ノ ケッカ
  • Seihin kaihatsu ni kansuru chōsa 2022 : 16nenkan no henka keikō to tanjun shūkei no kekka
  • Longitudinal survey on new product development 2007-2022

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抄録

type:text

筆者は2007年度から日本企業を対象に研究開発,製品開発に関する二つの調査を行ってきた。本稿では,2022年11月から行った「製品開発についての調査」(通算12回目)の結果について報告する。2007年から2022年のトレンド係数が有意となったのは,設定した250項目のうち37項目であった。変化した項目からは前回調査同様「製品の複雑化」「市場の変動の低下」「ユーザー間,ユーザーとの関係の希薄化」「開発プロセスでの情報収集活動の低下」「企業内,企業間での情報共有の進展」「企業内での公募,知識や情報共有の低下」などの問題が重要化していることがわかった。前回はトレンドが有意ではなかったが新たに有意となった項目には,「開発プロセスでの情報収集活動の低下」「ユーザーとの関係の希薄化」に関する項目が複数含まれており,これらの傾向がさらに強まっている。さらに,新たに「失敗をおそれない社風である。」「失敗しても再挑戦できる雰囲気である。」などが新たに低下傾向となり「失敗を恐れるだけでなくラディカルな製品も投入できない傾向」が強まっている。 前回に続いて東日本大震災・福島原発事故,新型コロナウイルスという緊急事態宣言に関する質問も設定した。東日本大震災・福島原発事故時は「自社の拠点」や「売上」よりも「原材料の調達」「製品の流通」などサプライチェーンへの影響が大きかった。緊急事態対応のため6割の企業が「業務継続計画の策定」「社内での訓練」を行っているが,「調達先の整備」「生産拠点の整備」など外部との調整,特に「官庁,自治体との情報共有,連絡」の準備割合は低いままである。緊急事態に対して,「国や自治体の指針が発出されたタイミングで出社制限などを行う」上場企業の割合が2020年の63.6%から今回は89.3%へと増加した。日本政府の新型コロナウイルス対策にはPCR検査の不足など極めて大きな問題があり,政府方針に従うことには大きなリスクがあることを理解すべきであろう。企業の意思決定に大きな影響を与える国や自治体には,さらに迅速で科学的な対応が求められる。

資料

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 66 (2), 101-131, 2023-06

    慶應義塾大学出版会

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