Beyond GDP論のゆくえ

抄録

21世紀に入って、経済成長は経済格差や地球温暖化をもたらし福祉や持続可能性を破壊するとの批判が高まった。同時に、経済成果に関する主要な指標であるGDPに対しても、それに代わる福祉と社会進歩を測定する指標を開発すべきであるというGDP批判、Beyond GDP論が展開されている。他方、国連は2025年を目途に、急激に変化する経済・社会状況に対応するために現行の2008年版SNAの改訂作業を進めている。本稿は、主要なBeyond GDP論と、SNA改定の動向との双方を学説研究の意味を込めて詳細に検討し、両者の対立点とその原因および調整の方向を探ることを目的としている。SNA改訂については、数種の新しいSNA体系が提案されており、また、Beyond GDP論に対応する一つの方法としてサテライト会計の開発が進んでいることを明らかにする。最後に、両者に共通する問題点を指摘するとともに、持続可能性の基本である農業問題に取り組むために、メソ会計としての土地・農業会計を提案する。

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