ヤングケアラーの出現とその意味するもの ─ 言説的背景とケアラーへの支援の帰結をめぐる考察 ─
書誌事項
- タイトル別名
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- Social Construction of Young Carer in Japan: A Study of the Discourse Background and Results of Support for Carers
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説明
本稿の目的は,社会構築主義の視座に基づきヤングケアラーをめぐる言説が何によって強化され,問題化されているのかについて,その意味や社会的背景を問い直し,「支援する対象としてのヤングケアラー」という認識による対応によってもたらされうる帰結と,ヤングケアラーへの対応の視点を捉え直す視座を提示することである。ヤングケアラー問題が内包しているものとは,本来,大人の家族内成員がケアを行うはずであるにもかかわらず,その家庭の成員である子どもがケアを担っているということではなく,その家庭内において大人を含めた家族のみがケアを担わなければならないという,日本型福祉社会における家族が社会保障を代替している機能それ自体にある。したがって,日本において前者への対応がとられている現状においては,ヤングケアラーおよびその家族の社会からの潜在化という帰結をもたらす恐れがあるため,ケアを担う子どもたちが,いつ,どのくらいのケアを,どれだけの期間,担うことがヤングケアラーとして該当する状態であるのかを明らかにし,家族ケアを家族成員に担わせる機能自体を支援する必要があることを提示した。
収録刊行物
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- 札幌学院大学人文学会紀要
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札幌学院大学人文学会紀要 (114), 31-45, 2023-10-31
札幌学院大学総合研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050016803517607680
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- HANDLE
- 10742/0002000057
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- ISSN
- 09163166
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB