政策発信と政策形成:米国の台湾政策を事例とした歪情報仮説モデルによる実証分析

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  • セイサク ハッシン ト セイサク ケイセイ:ベイコク ノ タイワン セイサク オ ジレイ ト シタ ユガミジョウホウ カセツ モデル ニ ヨル ジッショウ ブンセキ

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抄録

公文書の内容や当局者の発言が常に正しいものであるという前提は、本当に正しいのだろうか。これまでの政策研究は、ほとんどの場合において、政策発信が正しいことを前提として分析がなされてきた。公文書の内容や当局者の発言が正しい情報であるかどうかという点については特段の留保もなく、ある意味では無批判に受け入れられている。また、ディスインフォメーションをはじめとして、歪められた情報を意図的に発信する情報戦への注目が近年高まってきており、「正しい」とされている情報の真実性に対する疑問も呈されるようになりつつある。  本研究では、政策発信が正しくなされていると想定する「正情報仮説モデル」(Correctinformation Hypothetical Model、CHM)に対して、歪められた政策発信がなされる可能性を想定した「歪情報仮説モデル」(Distorted-information Hypothetical Model、DHM)の定式化を試みる。その上で、米国の台湾政策を事例として実証分析を行う。具体的には、米国の台湾政策に関して、2022年8月のペロシ下院議長の訪台という事例に対して、CHMとDHMとのアプローチを適用し、実際に生起した現象に対して与えられる説明にどのような違いがあるのかを分析することで、DHM の有用性について論じた。分析の結果、DHMを適用することによって、CHMだけでは辿り着くことができなかった政策変更の可能性について指摘することが可能であることが明らかとなり、本モデルの有用性が示された。

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