「文化遺産」の統合的把握と持続可能な開発 : 世界遺産条約,無形文化遺産条約,文化多様性条約を中心に

書誌事項

タイトル別名
  • Towards an Integrated Vision of Cultural Heritage for Sustainable Development
  • 「 ブンカ イサン 」 ノ トウゴウテキ ハアク ト ジゾク カノウ ナ カイハツ : セカイ イサン ジョウヤク,ムケイ ブンカ イサン ジョウヤク,ブンカ タヨウセイ ジョウヤク オ チュウシン ニ

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抄録

国連教育科学文化機関(ユネスコ)が採択した文化遺産保護のための国際的な法的枠組みは多岐にわたるが,その中でも世界遺産条約(1972年),無形文化遺産条約(2003年),文化多様性条約(2005年)という三つの条約は,それらの中核を担う法的枠組みとして位置付けられている。この点で特に重要なのは,これら三つの条約のいずれもが,「持続可能な開発」の概念と密接な結びつきを有しているという点である。国際社会の共通目標としての持続可能な開発の重要性と,これら三つの条約のいずれもが持続可能な開発と密接な結びつきを有するという事実の双方に鑑みれば,これらの条約で対象とされる文化遺産は,持続可能な開発という大きな目標の下に位置付けて把握される必要があるだろう。本稿では以上のような問題意識の下,世界遺産条約,無形文化遺産条約,文化多様性条約という三つの文化遺産保護条約と持続可能な開発概念の関係性を概観する(Ⅰ)。そしてその上で,これら三つの条約のうち,特に文化多様性条約の持つ固有の性質に着目し,同条約を通じて,これまで分離して把握されることの多かった三つの条約が,持続可能な開発という大きな目標の下で一体的に把握される可能性について模索していく(Ⅱ)。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 128 (10), 253-270, 2022-03-30

    法学新報編集委員会

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