マスク着用時における表情認知が前頭前野の脳活動に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of Facial Expression Recognition on Prefrontal Brain Activity during Mask Wearing
  • マスク チャクヨウジ ニ オケル ヒョウジョウ ニンチ ガ ゼントウ ゼンヤ ノ ノウ カツドウ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

要旨 (Abstract)  近年ではコロナ禍においてマスクを着用することが多くなり、 病院内でもマスクを着用する医療従事者と患者が増えたことから両者のコミュニケーションや信頼関係にも影響があると考えられる。 本研究ではマスクの着用が前頭前野の脳活動に与える影響を明らかにするため、 マスク着用時と非着用時において様々な表情を認知する際の前頭前野の脳血流量および正答数の相違について、 検討するものとした。 方法は、 健常若年者 21 名を無作為にマスク着用の課題を見るグループ A、 マスク非着用の課題を見るグループ B に分けた。 脳血流量の計測には近赤外分光法 (near-infrared spectroscopy:NIRS) を用い、 表情認知課題表示時に前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度 (oxy-Hb 値) の計測を行った。 表情認知課題は 4 表情 「真顔」 「笑顔」 「嫌悪」 「悲しみ」 の写真計 16 枚を順番に見せ、 指定された表情の時にボタンを押させた。 結果は、 「嫌悪」 の表情の際、 マスク着用時の oxy-Hb 値はマスク非着用時に比べて有意に高い値を示した。 正答数はどの表情においてもマスク着用の有無で有意な差はみられなかった。 主観的アンケートの結果からは、 マスク着用時の 「嫌悪」 を認知することが難しいことが明らかとなった。 これらの結果から、 マスク着用時の 「嫌悪」 の表情は読み取ることが困難であり、 「嫌悪」 を認識している時には前頭前野の脳活動が関連していることが示唆された。

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