『漢字文化大観』 第16章「世界での痕跡-海外における漢字」  第3 節「ベトナムにおける漢字」 翻訳(前半)

抄録

『汉字文化大观』(漢字文化大観)は、あらゆる側面から漢字の歴史をとらえた専門書として、5 年の編集期間を経て1995年に中国の人民教育出版社から出版され、中国国内で注目を集めた。その後、初版以降の研究成果を反映した改訂版が2010年に出版された。本稿は改訂版の第16章第3 節の一部を翻訳したものである。漢字は中国の宝と呼ぶにふさわしいものであるが、古代より中国国内のみならず、日本や朝鮮半島、およびベトナムにおいても公式の文字として長期間に亘り使用されてきた歴史があり、これらの国々の文字や言語の発展に少なからぬ影響を及ぼしてきた。本節は、古代中国の豊富な文献資料をもとに、漢字と中国の文化、政治がベトナム社会にどのような影響を与え、それがベトナム語の語彙や発音にいかに反映されてきたかについて考察を行ったものである。中国で長年蓄積されてきた、漢字と東アジア地域の歴史や文化の関わりについての研究の一部を翻訳することにより、東アジア地域における漢字研究の更なる発展に貢献することが期待できる。

収録刊行物

  • Ignis

    Ignis 3 233-248, 2023-12-31

    京都外国語大学国際言語平和研究所

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