なぜ日本の高校生活がより楽しく、充実したものになったのか―大学進学率の上昇と情報化による、疎遠型クラスの減少―

書誌事項

タイトル別名
  • Why Are Japanese High School Students Happier? --Rising college enrollment rates and information technology have reduced the number of estranged classrooms

抄録

紀要論文 / Departmental Bulletin Paper

近年、日本の高校生の幸福感が高まっている。先行研究では、高校生の価値観がより勉強重視に向かう「まじめ化」が示され、授業の充実感が高まり、それが高校生活の満足感につながっていることが示されていた。しかし勉強は彼らの生活のごく一部にすぎない。本稿ではより大きな影響を与えていると考えられる、クラス内の人間関係の変化に要因を見出し調査・分析を行った。因子分析の結果、クラスの雰囲気はグループ間のつながりや多元的価値観を示す「風通しの良さ」因子とそれに高相関の「向学校・進学校」因子、そしてグループ間の上下関係を示す「権力の集中」因子の三つによって表現できることがわかった。これらの因子得点はともに1990 年代から2000 年代にかけて上昇しており、これら三つが全て低い疎遠型タイプの学級がこの時期に減少していることが示された。高校生活の充実度の高まりは、これらの因子のうち、風通しの高まりによって説明できた。またその風通しの良さは、向学校・進学校文化やクラス内の文字コミュニケーションの活発さと相関があり、大学進学率の上昇と情報化によって引き起こされていることがわかった。

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