鑑定書と被告人の対決権保障

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タイトル別名
  • The Confrontation Right of Defendants regarding Forensic Reports
  • カンテイショ ト ヒコクニン ノ タイケツケン ホショウ

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抄録

合衆国最高裁判所は2004年のCrawford判決で,合衆国憲法第 6 修正の保障する被告人の対決権に関して,「自己に不利益な証人(witness)と対決する」権利であるという点から,全ての法廷外供述ではなく,「証人」=「証言(testimony)をする者」の供述,つまり「『証言』といえるような(testimonial)供述」が対象であると判断した。そして,これに該当する供述については,その供述者(原供述者)が証言利用不能であったとしても,被告人に反対尋問の機会が保障されていなければならないという厳格な基準を採用した。そこで,下級裁判所は,具体的な事件において,法廷外供述が “testimonial” かどうかを判断しなければならなくなったが,結論が大きく分かれたのが鑑定書であった。本稿は,合衆国最高裁判所が鑑定書に関して判断した2009年のMelendez-Diaz判決,2011年のBullcoming判決,2012年のWilliams判決を通じて,“testimonial”とは何か,鑑定書について特に考慮すべき点はあるかを考察するものである。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 129 (6-7), 321-346, 2023-03-08

    法学新報編集委員会

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