憲法と行政協定(三) : 条約条項との緊張

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タイトル別名
  • Executive Agreements and the Treaty Clause of U.S. Constitution (Ⅲ)
  • 憲法と行政協定(3)条約条項との緊張
  • ケンポウ ト ギョウセイ キョウテイ(3)ジョウヤク ジョウコウ ト ノ キンチョウ

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抄録

行政協定(EA)は憲法に規定がないにもかかわらず,条約以上に立憲国家の国際法形成のツールとなっている。わが国では,一定の内容を持った(大平ドクトリン)EAは憲法上条約と同じように扱われる。しかし,その憲法的根拠や条約と互換的に使用されていることの法的な基準は,明確ではない。本研究は,やはり条約のみ規定するアメリカ憲法でEAはどう根拠づけられ,手続や統制はどのようにくみこまれているのかを考察する。(三)では,まず,EAの第3のタイプの大統領単独行政協定(SEA)を,それが憲法上どのように正当化されるのか,その大統領権限に限界はないのか,アメリカ法上どのように位置づけられるのかを考察する。実務や判例では大統領の一方的な憲法上の権限として展開されているが,その限界や手続は一義的ではなく,またCEAや条約との互換性についても法的なすみわけは曖昧であるのを指摘する。次に,EAの憲法上の課題はその統制にあり,権力分立の枠組みでの議会統制が基本であることを論じたうえで,EAのアカウンタビリティ確保を目的として,立法的及び行政法的な統制を考察する。これらは,日本国憲法でのEAの意義や統制を考察するために有意な視点を提示しているのである。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 129 (5), 171-201, 2022-11-18

    法学新報編集委員会

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