学校監督及び学校概念の歴史的意味とその変遷 : 全日制学校の合憲性をめぐって

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タイトル別名
  • Vom Wandel der Begriffe der Schulaufsicht und Schule im GG : Gesellschaftliche Herausforderungen und Grundrechtsdogmatik
  • ガッコウ カントク オヨビ ガッコウ ガイネン ノ レキシテキ イミ ト ソノ ヘンセン : ゼンジツセイ ガッコウ ノ ゴウケンセイ オ メグッテ

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抄録

本稿では,全日制学校の合憲性をめぐる論争を手がかりに,基本法7条1項における学校監督概念および学校概念の変遷についての検討を行う。  全日制学校の導入は学校の統合機能を,より強化する可能性を持つものであり,基本法の枠内で正当化され,受容される理由に結びつけることができるだろう。違憲説の論拠の前提には広い学校監督概念があり,これは歴史的解釈に依拠している。近年,この歴史的解釈に対しては,重要な疑義が出されている。加えて,学校概念についても,従来的な概念の再考が求められているため,学校の制度や機能から分析する見解を整理し,全日制学校の合憲性という問題について,その類型化を手がかりとして考察を行った。監督概念および学校概念には,立法当初とは異なる社会の動態性および開放性を取り組む解釈の必要性があったことは明らかである。  全日制学校の問題は,一見すると,ドイツでの単なる子どもの下校時刻の問題に過ぎないが,学校制度が社会で担う役割の重大な変化には,同様のものがある。全日制学校をめぐる憲法論議は,我が国にあっても共有される問題が投影され,有用な洞察を与えてくれるテーマともいえる。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 129 (1-2), 283-315, 2022-08-04

    法学新報編集委員会

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