海洋における越境的環境損害と国際民事訴訟 : 豪州モンタラ油田噴出事故訴訟

書誌事項

タイトル別名
  • Transboundary Environmental Damage at Sea and Private International Litigation : Montara Oil Spill Class Action in Australia
  • カイヨウ ニ オケル エッキョウテキ カンキョウ ソンガイ ト コクサイ ミンジ ソショウ : ゴウシュウ モンタラ ユデン フンシュツ ジコ ソショウ

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抄録

本稿で取り上げるモンタラ(Montara)油田噴出事故の豪州連邦裁判所における訴訟は,海外原告から豪州企業が訴えられた集団訴訟で,かつ域外への越境的環境損害が問題となった,豪州での初めての訴訟である。海洋を挟んで遠距離に位置する外国の海岸線および外国の領海に所在する島々に,海洋汚染または海流の流れを通じて近隣国の海岸線および島々への汚染が波及した問題や,外国の領海に属する海洋それ自体が汚染された問題が追及される場合には,海洋生態系に対する損害をどのように定義するか,また,海洋を経て到達された汚染と到達地で生じた損害との間に因果関係が認められるか等が争われ得る。これらの争点について裁判上で詳細に扱ったモンタラ油田噴出事故訴訟は,海に囲まれた島国である日本にとって,これまで国際河川における越境的環境損害を典型としてきた国際民事訴訟をめぐる法の議論に,新しい着眼を見出す手がかりになると思われる。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 129 (1-2), 1-51, 2022-08-04

    法学新報編集委員会

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