クッキー状炭化物の炭素・窒素同位体分析 : 茨城県下広岡遺跡の事例

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タイトル別名
  • Carbon and nitrogen isotope analysis of carbonized cookies : Case study of the Shimohirooka site, Ibaraki prefecture
  • クッキージョウ タンカブツ ノ タンソ ・ チッソ ドウイタイ ブンセキ : イバラキ ケンカ ヒロオカ イセキ ノ ジレイ

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抄録

本研究では、炭素窒素同位体分析、C/N比分析を行うことにより、クッキー状炭化物の内容解明を試みる。筆者らは、2009 年より、同方法を用いて研究を進めてきた。その結果、クッキー状炭化物は、堅果類のデンプンを主体としている可能性が高いことを解明した。また、これらのデータは分散範囲が非常に小さいことから、その内容物の由来は比較的単純であったことを指摘した。2012年までの分析では、①クッキー状炭化物の類、②エゴマ種実塊、③アスファルトの3種類の識別が可能であった。1990年代に、押出遺跡の脂肪酸分析で指摘された「ハンバーグ型」のような窒素含有率の高い動物起源とされうる資料は確認できていない。本稿では、2016年に試料採取を行った下広岡遺跡の分析結果を報告するとともに、これまでの研究成果とあわせて考察を行った。本分析では、パン状炭化物3点、クヌギ炭化種子2点、クルミ炭化核2点の計7点を対象として、炭素・窒素同位体分析、C/N比分析、放射性炭素年代測定を実施した。パン状炭化物3点の結果は、これまでのクッキー状炭化物と比較して、窒素同位体比や窒素含有率が少し高く、エゴマ種実塊と類似する傾向を示した。クヌギ炭化種子との比較では、少し異なる傾向にあるため、遺跡から多く出土したクヌギを単独で利用したものとは考えにくい。パン状炭化物1点は、動物起源の可能性も考えられるため、今後類例を待っで慎重に検討する必要がある。

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