日本体育大学菅平野外実習場の伏流水と地下水の微生物調査

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  • Examination of bacterial microbiota of underground flowing water and well water at the Sugadaira Training Center of Nippon Sports Science University

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抄録

水は生命活動に必須である。現代,特に日本では,日常生活において安全な飲料水が手に入らない局面は非常に限られている。しかし,キャンプや登山,ハイキングなどの活動中に常に,安全な水道水を手に入れることができるとは限らない。水道水が手に入らない場合,「天然」の水源,湧き水や川の水,井戸水などを利用することを強いられる。これらの水源の水の安全性は,水源の置かれた環境によって大きく変化する。天然の水源から得られた水に混入する微生物は,その水源の質をよく反映していると考えられる。微生物は,生態系に広く分布し必要不可欠な機能を担っている一方,糞尿指標細菌はその水への動物の糞尿の混入を示す良い指標となる。自然環境中の水に含まれる微生物は,その水源が置かれた環境,気候変動,人間を含めた動物達の活動の変化の影響を受けて変わって行く。従って,野外活動の際の水源として利用する場合,その水の水質は,定期的に調査してその変化と安全性を確認することが望ましい。今回我々は,前回の調査から20年以上経過したことから,日本体育大学の菅平野外実習場の伏流水と井戸水の細菌叢の調査を再度行った。伏流水の細菌叢については,以前の調査と比較して単位体積あたりの菌数に大きな変化は見られなかったが,検出された菌の種類には多少の変化が見られた。伏流水に含まれる菌種の変化は,実習場を取り巻く自然環境の経年的な変化や地球環境の変化を反映している可能性がある。また,井戸水に混入する細菌については,調査期間中概ね水道水として許容される検出数の上限未満で推移したが,井戸水の使用状況によって細菌数が上限を超えるほどまでに変動することが明らかになった。

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