[論文] 直良信夫のゾウ化石研究と直良コレクションに見られるゾウ化石資料

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  • [Article] Fossil Elephant Study of Nobuo Naora and Examination Results of Fossil Elephant Specimens in Naora Collection

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抄録

本報告では,直良信夫のゾウ化石に関する研究を振り返ると共に,国立歴史民俗博物館,早稲田大学本庄高等学院,早稲田大学教育学部などに残る直良コレクションに含まれるゾウ化石標本および写真資料について検討を行った結果を述べる。直良信夫のゾウ化石についての記述は「日本哺乳動物史」をはじめいくつかの書籍などにみられるが,学術雑誌での記載はみられない。しかし,直良コレクションの中にある未刊の「日本産長鼻類化石」原稿には,自筆で212標本の記載が書かれており,直良がいかに緻密にひとつひとつの標本を記載していたのかが伺われる。また,直良コレクションの中で比較的保存の良い早稲田大学所蔵明石海峡産アケボノゾウ頭骨化石の簡単な記載と早稲田大学所蔵で戦災で焼失した完全なナウマンゾウ下顎骨標本およびその他の下顎骨標本について直良コレクション中の写真資料を基に検討し,これまで明瞭でなかったナウマンゾウの下顎枝の特徴などを明らかにした。それらは以下のとおりであった。下顎枝は近遠位方向からみると背側にほぼまっすぐのびる。側面よりみると,前縁はほぼ直線状で,下顎枝基部はあまり細くならない。下顎枝の前縁は下顎体の長さの半分よりもやや前方に位置する。下顎体と下顎枝のなす角度はほぼ90°である。関節頭の関節面は内外方向に長く,やや内側を向く。

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