東京湾内湾の表層域における仔稚魚相-コノシロとカタクチイワシの産卵の可能性-

書誌事項

タイトル別名
  • Larval and Juvenile Ichthyofauna in Surface Waters of the Inner Tokyo Bay: A Probability of Spawning by Konosirus punctatus and Engraulis japonicus
  • トウキョウワン ナイワン ノ ヒョウソウイキ ニ オケル シチギョソウ コノシロ ト カタクチイワシ ノ サンラン ノ カノウセイ

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説明

東京湾内湾の沿岸域では,30年間近く続けられてきた調査より,仔稚魚相やその変遷が明らかにされてきた.一方,内湾の表層域の仔稚魚相は未解明な部分が多い.そこで本研究では,東京湾内湾の表層域の仔稚魚相を把握するとともに,その変遷を明らかにした.さらにコノシロとカタクチイワシについては,東京湾内湾における産卵について検討した.仔稚魚の採集は,2018年6月から12月の偶数月と2019年4月から9月に,稚魚ネット(口径1.3 m,測長4.5 m,目合い0.5 mm)を用い,東京湾内湾の羽田沖と荒川河口の2地点の表層で行った.採集された仔稚魚は,15科18属21種以上8,461個体で,優占種はカタクチイワシ(総個体数のうち40.7%),コノシロ(33.9%),サッパ(10.8%)であった.これら3種の優占は,東京湾内で1990年代より確認されており,魚類相の大きな変化は確認されなかった.優占種2種の体長のモードは,カタクチイワシは3.0-3.9 mm,コノシロも3.0–3.9 mmであり,孵化後間もない仔魚のほか、卵も多く採集された.以上の結果と内湾沿岸域における成魚の出現記録から、カタクチイワシやコノシロは,主に東京湾の外湾で産卵していると考えられていたが,内湾でも産卵している可能性が示唆された.

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