ダークツーリズムが媒介する「非日常」と「日常」、そして(その)「間」:済州4・3 事件を事例として

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タイトル別名
  • The ‘Extra-ordinary’, ‘Ordinary’ and ‘In-between’ Mediated by Dark Tourism:A Case Study of Jeju April 3rd Incident

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抄録

本稿は、ダークツーリズ研究において課題として指摘されてきたダークツーリズムの媒介性と再帰性について、観光経験の分析を通して考察することを目的とする。事例としては、ダークツーリズム研究において、特に2008 年の済州4・3 平和公園の開園後、度々報告されてきているものの、朝鮮半島における政治社会的文脈や韓国現代史を踏まえた考察が必ずしも十分に行われていない、済州4・3 事件に関連するダークツーリズムを取り上げる。具体的には、済州4・3 平和公園に訪れる韓国籍訪問者と現地ガイドを対象に、訪問動機、訪問前後の済州4・3 事件に対する認識変化、済州4・3 事件と朝鮮半島における分断の関係性に関する認識およびその変化を主とする反構造的インタビュー調査と参与観察を行い、その結果を分析した。本研究では、韓国籍訪問者が済州4・3 事件に関連するダークツーリズムを通して、事件当時の過去(非日常)のみならず、同事件がタブー視された歴史(間)、そしてイデオロギー的対立とその継続という現在(日常)までを再帰的に考察することを明らかにした。

収録刊行物

  • 紀要

    紀要 16 27-55, 2024-03-31

    多摩大学グローバルスタディーズ学部

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