ニホンジカが嫌う園芸植物の特徴

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  • Characteristics of garden plants disliked by sika deer

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抄録

近年、日本各地でニホンジカ (Cervus nippon) が増加し、住宅地においては家庭菜園や庭木へのニホンジカによる被害が報告されている。ニホンジカの好まない植物を園芸に用いることで、民家への生活被害は低減できるものと思われる。本研究は、ニホンジカが不嗜好性を示す植物の種とその特徴 (生活型、葉の棘、葉の毛、鋸歯、葉の硬さ、毒) を明らかにし、園芸に用いる植物に対するニホンジカの嗜好性の有無の推定を可能とすることを目的とした。奈良教育大学構内での園芸植物のニホンジカによる採食実験の結果と園芸植物の嗜好性に関する既存文献の情報を基に、131種の植物の特徴とニホンジカの嗜好性との関係について一般化線形モデルで解析した。葉が硬い植物種や葉に毛がある植物種がニホンジカに採食されにくいことが示唆された。葉の棘、葉の鋸歯、毒性もニホンジカの嗜好性に影響している可能性があった。しかし、こういった特徴を持った植物であっても半分以上の種は採食されていたことから、植物種の形質などの特徴の情報のみでニホンジカの不嗜好性を判定することには不確実性が残ることが示唆された。また、ニホンジカが不嗜好性を示した25種を園芸に用いることで、園芸植栽でのニホンジカの被害は低減できる可能性がある。

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