宮崎市における母親の育児に関する相談行動の実態

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  • A Survey on Mothers’ Help-Seeking for Childcare Support Services in Miyazaki City

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抄録

本研究では、宮崎市において子育てをしている母親の公的相談機関への相談に対する基礎データを提供することにより、特に相談の主体である母親の心理的側面に焦点を当て、その実態を明らかにすることを目的とした。宮崎市内及び宮崎市近郊にて就学前の幼児(3歳以上)の育児をしている保護者(母親)1000名に郵送調査法による調査への協力を依頼し、返送された477名の回答のうち回答不備がみられた7名を除く470名の回答を最終的な分析対象とした。本調査で明らかになった主な結果は、以下の3つであった。1つ目は、自治体の相談窓口など悩み相談に特化した相談機関よりも医療や親子間の交流などその他の機能も果たしている相談機関の方が母親にとっては相談しやすい傾向にあり、子育ての悩みについての相談が日常的な関わりの延長として生起するものであることが示された。2つ目は、相談員に対しては情緒支援型よりも情報提供型の援助を多く求める傾向にあった。この結果は、抱えている悩みの質や大きさにより異なると思われるため、どのような悩みを抱えた母親がどのようなサポートを求めているのか、そのニーズに合わせた最適な支援を考える必要性を示した。3つ目は、相談に対するネガティブな態度よりもポジティブな態度を持つ傾向が高かった。この結果は、相談意図のような場面を想定した上での質問への回答において、母親自身の実際の経験や当事者意識がどの程度反映できたかという調査方法の課題が考えられた。本研究は、宮崎市だけではなく、同等の規模の地方自治体における子育て支援の潜在的な支援ニーズ、相談に影響する心理的要因を把握するための数量データを提供した。本調査が提供したデータを基に、子育てに悩む多くの親が公的相談機関に積極的に相談できる環境構築が期待された。

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