ウシの放牧に伴うシカの個体数密度の変化

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  • Changes in the Deer Population Density Associated with Cattle Grazing

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抄録

本研究では、ウシの放牧に伴うシカの個体数密度の変化を調査した。調査は、カラマツが優占する林地内放牧地(標高約1,300m)で行った。放牧に用いた林地内放牧地(8.5ha)は有刺鉄線フェンスで囲まれ、9月24日から1ヵ月間、4頭の黒毛和種繁殖牛が放牧された。牧草地の北側にフェンスに沿って1本、対照区として、そのフェンスから150m離れた北側に1本、計2本のライントランセクト(3×150m)を設置した。植生調査と糞粒採取は2003年9月18日から11月6日まで実施し、各トランセクトの林地内放牧地内外の草量と糞粒数を1週間ごとに記録した。各調査において、各ライントランセクト近隣の林内放牧地内外の5カ所を無作為に選び、その場所に置いた1×1mコドラート枠内で出現草種を地際から刈り取り、その現物重を測定した。その後、各トランセクトで発見された糞粒数からシカの個体数密度を推定した。翌週の調査で糞粒数の記録が重複しないよう、糞粒は発見されるたびに回収した。林地内放牧地内の草量は、放牧開始とともに徐々に減少した。両ライントランセクトのシカ個体数密度は放牧期間中に有意に異なった(p<0.01)。放牧開始直後は柵沿いラインで生息密度が大きく減少した。その後、草量の減少とともにシカの個体数密度は減少した。対照区では、放牧3週目までシカの生息密度は大きく変化せず、4週目に減少した。退牧2週間後、シカの生息密度はいずれのライントランセクトでも増加した。

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信州大学農学部AFC報告 22 : 1-6, (2024)

収録刊行物

  • 信州大学農学部AFC報告

    信州大学農学部AFC報告 22 1-6, 2024-03-31

    信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター

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