夫婦別姓選択制の法制化を求めた、80-90年代の市民運動 : 運動参加者の経験から

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タイトル別名
  • The Citizen's Movement for Optional Separate Surnames for Married Couples in the 1980s and 1990s : Based on the Experiences of Participants in the Movement
  • フウフ ベッセイ センタクセイ ノ ホウセイカ ヲ モトメタ 80 90ネンダイ ノ シミン ウンドウ ウンドウ サンカシャ ノ ケイケン カラ

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抄録

卒業論文

本論文では、「夫婦別姓選択制をすすめる会」(東京)、「結婚改姓を考える会」(関西)、「夫婦別姓選択制の実現をめざす―あいち別姓の会」(愛知)を対象に、1980-90年代に夫婦別姓選択制の法制化を求めて活動した市民運動の様相について明らかにする。第1章では、明治期から続く夫婦同姓の意味と、それが80年代以降女性差別として問題化された流れを整理し、この問題と時代を扱う意義を示した。また、夫婦別姓への要求がフェミニズムを内包しながらフェミニズムからの批判を受けるものであったことを確認した。第2章では、「夫婦別姓選択制をすすめる会」を事例に、フェミニズムを内包する運動がその思想に相反する多様性を持つ際の深い葛藤に向き合う際の一つの様態を示した。すすめる会では、対立する主張をぶつけ合い議論を続けることで包括的な運動の方法が模索された。第3章では、「結婚改姓を考える会」と「夫婦別姓選択制の実現をめざす―あいち別姓の会」を事例に、異なる動機への葛藤を小さくすることで可能となった共闘の形を提示した。「考える会」では理念より実践を重視することで共闘が図られ、「あいち別姓の会」では多様な動機を含める表現を用いて行政に働きかけを行うという方法で共闘への試みがとられた。どの会の試みも、それぞれの異なる別姓への思いを受け止めながら、現行制度の差別性を問いかけ、その先の社会の変化を求めた運動であった。

収録刊行物

  • 日本学報

    日本学報 42 18-48, 2023-03-31

    大阪大学大学院人文学研究科現代日本学研究室

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050018218946291584
  • NII書誌ID
    AN00030279
  • HANDLE
    11094/91308
  • ISSN
    02864207
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB

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