大阪方言におけるノダ相当表現 : ノヤからネンへの変遷に注目して

書誌事項

タイトル別名
  • Noda in Osaka dialect: Focusing on the change from noya to nen
  • オオサカ ホウゲン ニ オケル ノダ ソウトウ ヒョウゲン ノヤ カラ ネン ヘノ ヘンセン ニ チュウモク シテ
  • オオサカ ホウゲン ニ オケル ノダ ソウトウ ヒョウゲン : ノヤ カラ ネン エ ノ ヘンセン ニ チュウモク シテ

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説明

本稿では、大阪方言のノダ相当表現の中からノヤ、ネヤ、ネンヤ、ネンという4 つの形式を取り上げ、その異同を形式と意味の両面から記述した。その結果、以下のことがわかった。(a)ノヤはおおむね共通語のノダと同様の形式的振る舞いを見せるが、その他の3 形式は、活用の有無、過去形への接続、ヤの脱落、コピュラへの接続という点でそれぞれ少しずつ違った振る舞いを見せる。中でもネンは、もっとも終助詞化の進んだ形式と言える。(b)意味面では、ノヤ、ネヤ、ネンヤの間に形式面ほどの明確な違いは見られないが、対人的用法の中に命題処理度のスケールを導入することで、ネンはノヤに比べて命題処理度が小さい、つまり、聞き手に伝える機能により特化した形式であるということが言える。したがって、同じ対人的用法でも、より命題処理度が大きい発話ではネンが使いにくい。そして、4 つのノダ形式がこういった特徴を見せる背景として、「ノヤ→ネヤ→ネンヤ→ネン」という変化の過程を考察した。そして、次のことがわかった。(c)形式面における4 形式の違いは、ノヤからネンへという変化のそれぞれ違う段階にあるからである。各形式における意味面の違いは、形式面ほど明確なものではないが、想定できる変化の方向性は形式面の変化と対応している。

収録刊行物

  • 阪大日本語研究

    阪大日本語研究 25 53-74, 2013-02

    大阪大学大学院文学研究科日本語学講座

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