世帯主のコホートに着目した教育費支出についての考察-全国消費実態調査を用いた実証分析-

抄録

本稿では、子どものいる世帯における教育費の支出パターンが世帯所得や時間の変化に応じてどのように変動するか検証した。1984 年から2014 年にわたる7 回分の全国消費実態調査を用い、小学生、中学生、または高校生の子どものいる世帯を抽出し、教育費支出の30 年にわたる変化を教育費支出のコホート分析と所得弾力性の観点から考察した。教育費支出のパターンが世帯主の年齢(Age)、調査年(Period)、世帯主の生まれた世代(Cohort) によって変化することを考慮するために、教育費支出についてのAge-Period-Cohort 分析を実施し、教育費支出が世帯主の年齢の影響をより大きく受けており、45-49 歳代においてピークに達すること、それらの変化が補習教育費だけでなく、授業料等の支払いからも生じていることを明らかにした。また、教育費支出と世帯収入との関係を明らかにするために、その所得弾力性を推定した。その際、所得弾力性が調査年における世帯主の年齢(Age)、生まれた世代(Cohort) によって変化することを考慮し、それらの交差項を制御した結果、所得弾力性が世帯主の年齢が上がるつれて大きくなることを明らかにした。

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