過活動膀胱と睡眠

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過活動膀胱は尿意切迫感を主体とする蓄尿症状を呈する症状症候群である。小児の過活動膀胱はself-esteemの確立やQOLに多大な影響を与えるため、適切な診断方法および有効な治療体系の確立が望まれる。機能的脳画像により、蓄尿に重要な中枢は、島、視床、前帯状回、被殻、中脳中心灰白質、橋、小脳などであり、特に前帯状回は行動を調節する部位としても重要であることが判明している。脳の機能異常が膀胱機能に影響する一方、膀胱の機能異常は蓄尿に対する脳の反応を変化させ、脳波の変化をもたらし、睡眠中の覚醒の亢進をもたらす。健常成人では睡眠は膀胱容量を増大させるが、過活動膀胱患者では睡眠による膀胱容量の増大効果が低下し、夜間頻尿につながる。夜尿症のない健常児においても、夜間の機能的膀胱容量は日中の1.6〜2.1倍に達するとされているが、小児の治療抵抗性の夜尿症では夜間の機能的膀胱容量の減少が認められている。抗コリン薬を用いて過活動膀胱を治療すると、蓄尿症状の改善とともに睡眠障害が改善し、また夜間多尿指数が改善する可能性があることが報告されている。今後は、小児を対象とした機能的脳画像や睡眠の質の解析などを行うことで、過活動膀胱が睡眠に及ぼす影響を小児患者で解析することが求められており、このような研究は夜尿症の病態解明やより有効な治療法の確立にも貢献することが期待される。

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