国語科授業における教師の発話の特徴分析-学年固定の方法に着目して-

書誌事項

タイトル別名
  • An Analysis of the Characteristics of Teachers' Utterances in Japanese language classes at elementary school: Focusing on Grade Fixation Methods
  • コクゴカ ジュギョウ ニ オケル キョウシ ノ ハツワ ノ トクチョウ ブンセキ : ガクネン コテイ ノ ホウホウ ニ チャクモク シテ

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抄録

教師の力量を測る上で最も有効な場面は,授業実践場面であると言われる.しかし,教師の授業力は「手続き的知識」であり,獲得した本人でさえそのプロセスを認識することは難しい知識である.つまり,教師の授業力は,客観視することが難しい能力の一つと言える.そこで先行研究では,発話という定量化が可能な指標を用いて,経験年数の違いが発話に反映されるという仮説のもと,教師の授業力を客観視することを目指してきた.しかし,「経験年数」を授業力の指標とするには根拠も弱く,授業力の客観視には未だ至っていない. そこで本研究では「学年固定」の方法を採用し,発達的様相に応じた発話の内容を客観視することを目指した.具体的には,Flanders(1970)の発話カテゴリーを用いて,授業で採取される教師側の発話を定量分析にかけ,発話の量やクラスター構造などを学年比較により調べた. その結果,全体の発話量は低学年の方が多かったが,「復唱」のみ,高学年において多く観察された.そこで,「復唱」の機能を調べるために,「復唱」を目的変数として重回帰分析を行ったところ,「説明」との相関関係が示されたため,高学年における「復唱」の機能(教師の意図)に「説明」が含まれることが分かった.また,低学年では「受容」が「指示」と同じカテゴリーに含まれた.「受容」は「感情需要」として授業運営の一端を担う発話であること(岸・野嶋,2006)を含むと,何等かの指示発話の際には,特に低学年の児童へのケアの意図が,このカテゴリー構造から推察できる.また,低学年のクラスターは高学年に比べてかなり距離が長かったことから,それぞれの発話がそれぞれの意図に基づき,明確に分けて使われていることが分かった.

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