単語テストに意味はあるのか : 単語テストとTOEICスコアの関係

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タイトル別名
  • Do the Vocabulary Tests Improve Listening and Reading Proficiency? The Relationship between the Vocabulary Tests and TOEIC Scores of College Students
  • タンゴ テスト ニ イミ ワ アル ノ カ : タンゴ テスト ト TOEIC スコア ノ カンケイ

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抄録

英語の基礎力強化のために,市販の単語集を使用して語彙力を付けようとする学習者,またはこのようなボキャブラリー・ビルディングの方法を授業で使用している指導者も少なくないであろう。筆者が勤務する大学でも,ボキャブラリー・ビルディングのために単語テストを英語必修科目の中で10年以上実施している。ボキャブラリー・ビルディングにはさまざまな方法があるが,テキストの文脈の中で単語を覚えていくのではなく,単語集の独立した文から単語を覚えていくという機械的暗記学習が大学生に有効であるのかを本研究では検証してみた。具体的には1学期に10回実施している単語テストの得点と学期に1度受験することになっているTOEICのスコアの相関を算出した。その結果,1年次単語テストの結果とTOEICスコアの間には中程度の相関(前期r=.369 後期r=.449)が見られた。また,単語テストの点数で学生を3群に分けて,分散分析でTOEICの点数を比較したところ,単語テストの点数が高い順にTOEICのスコアも有意に高く,語彙力はリスニングやリーディングの基礎となる能力であることが示唆された。また,学生をTOEICスコアで,上級者・中級者・初級者群に分けて分析したところ,初級者のみに相関(後期 r=.329)が認められた。つまり,あるレベル以上の学生には,このような単語学習法の効果はあまり期待できないが,あるレベルに達するまでこのような学習法は有効である可能性が示された。さらに,大学卒業までにTOEICで高得点(860点以上)を取得した学生の初年次の単語テストの成績を調べたところ,彼らの単語テストの平均は,それ以外の学生の平均より有意に高く,高いレベルに到達するためにはこのような意図的・機械的暗記学習も有効であることが示唆された。

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