アートツーリズム・サイトにおける介入的/実験的観客調査 : 現代アート作品鑑賞者の美的判断変化はいかに引き起こされるのか

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タイトル別名
  • Interventional/Experimental Social Research on Visitors to The Teshima Art Museum : Cognitive Network Analyses to Investigate How They Change Their Aesthetic Judgements
  • アートツーリズム ・ サイト ニ オケル カイニュウテキ/ジッケンテキ カンキャク チョウサ : ゲンダイ アート サクヒン カンショウシャ ノ ビテキ ハンダン ヘンカ ワ イカニ ヒキオコサレル ノ カ

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抄録

「アート思考」に注目が集まる中,計量社会美学の観点から,社会的実践としての現代アートの持つ問題提起力,想像力,社会批判力を実証的に明らかにした.産業廃棄物問題という負の遺産を抱えた豊島のアートサイトにおいて,美術館+アート作品が想起する美的判断の生成メカニズムを明らかにする認知構造変化の社会実験調査を行なった.産業廃棄物の写真誘導法を利用した実験では以下が判明した.1)認知構造変化者は,変化前には「水,白,水滴」などの少数のコンセプトに集中し,変化後では「美しい」というコンセプトが卓越し,社会批判的なコンセプトも出現する分散的認知構造である.豊島美術館+アート作品が表象していたのは,かつての産業廃棄物の島を感じさせないほど,自然に囲まれ,再生された「美しい」豊島であった.2)連想ネットワーク分析と多重対応分析によって,認知変化した(しなかった)鑑賞者の年代と豊島事件知識に関する社会的条件が確定された.3)最後に,アレゴリカルな「美的効果」を引き出した「文化媒介者」としての社会調査者の触媒的役割が見出された.

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