幕末維新期(主に1866年~1870年)サンフランシスコ在住日本人関連史料調査報告 ―『高橋是清自伝』に登場する「金子」に焦点を当てて

書誌事項

タイトル別名
  • A Report on a Survey of Historical Documents Related to Japanese Residents in San Francisco during the Bakumatsu and the Meiji Restoration Period(Mainly1866-1870) ―Focusing on “Kaneko” in The Autobiography of Takahashi Korekiyo

抄録

本稿は,筆者が2023年8月に米国サンフランシスコで実施した,幕末維新期に現地に住んでいた日本人に関する史料収集の成果の一部の報告とその分析の試みである。今回はサンフランシスコに1867年9月から1868年12月まで滞在していた高橋是清の自伝に登場する日本人関連史料を中心に収集した。その中で,日本人から頼りにされた可能性が高い「金子」という日本人に焦点を当てた。事前の調査では金子は薩摩藩出身と思われたが,今回の調査により,金子は若林とともに幕府が派遣した海軍士官候補生で,まず英語の勉強のためにシティカレッジ(City College)で学んでいた可能性が高い。シティカレッジでは,1867年から1870年までの間に約20人の日本人が学んでいた。彼らの大半の名前は史料に書かれていないが,金子と若林の他に薩摩藩,福井藩,彦根藩士等がいたと考えられる。サンフランシスコは米国東部の都市と異なり,太平洋を挟んだ隣国日本との貿易機会の拡大を歓迎する雰囲気があった。横浜からやって来た日本人は,すでにサンフランシスコに住んでいた多くの中国人移民と比較され,その勤勉さや向上心,旺盛な好奇心が地元市民に好印象を与えていた。ほぼ同時期の米国東部の日本人留学生が集まっていた都市との比較を意識しながら史料の分析を進めたい。

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