日本の春祭りにおける火の象徴の心理学的意味
書誌事項
- タイトル別名
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- The Psychological Meaning of Fire Symbols in Japanese Spring Festivals
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抄録
本論の目的は、二つの伝統的な日本の火祭(御燈祭と近江八幡左義長祭)を提示し、火の象徴の意味を心理学的に解釈し、それ通して伝統的な日本人の生き方の特徴を考えることである。二つの祭りは、「自己」(Jung、1921)との結びつきが自我の生命力を回復することを示している。加えて、自我が「自己」と結びつくためには、自我は利己主義的で自己防衛的な生き方を捨てなければならないことを示している。二つの祭りにおける火は、利己主義的で自己防衛的な生き方を捨てることを象徴すると同時に、「自己」の力を得ることを象徴している。これら二つの祭りはこの特徴を共有しているが、幾らか異なる点も有している。御燈祭の参加者は一時的に神になるが、近江八幡左義長祭の参加者は決して神にならない。御燈祭は、利己主義的で自己防衛的な生き方を捨てるためには、自我が対立する内なる諸力の葛藤に耐えなければならないことを示している。これは、自我が「自己」と関係する個性化過程においては、自我が対立する内なる諸力を統合することが最も重要であるというJungの考えに一致している。
収録刊行物
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- 放送大学研究年報
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放送大学研究年報 41 37-52, 2024-03-25
放送大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050018428980572928
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- NII書誌ID
- AN10019636
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- ISSN
- 09114505
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- 本文言語コード
- en
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB