食の安全性と農業政策の転換 ―BSE 対策再考―

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  • Food Safety and Changes in Agricultural Policy ―Reconsidering Countermeasures for BSE Issues―

抄録

わが国では2000 年代になって、BSE 問題が起こった。それをきっかけに食品衛生から食品 安全が注目されるようになった。BSE ないし食の安全性の問題については、多くの先行研究が ある。しかし、これらの問題を農業政策の展開と関連付けた研究は少ない。 􀀃 本稿は、主にBSE 問題の対策として設置された政府の各委員会の報告書をたどり、BSE の発 生後、「政府や企業の対応」、「リスク管理をめぐる議論」などの分析を通して、それまでの農業 政策が大きく転換したことを明らかにした。 その転換とは、生産重視の政策から、消費者重視の政策への移行であった。しかし、その過程 で、BSE への政策対応が拙速であったために、企業による表示偽装問題を引き起こした。さら に検査体制やリスク評価、リスクコミュニケーションのあり方、そして政治と科学の関係など、 多くの課題が生じ、今なお議論が続いている。

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