『サイリス』におけるバークリーの生命哲学

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  • サイリス ニオケル バークリー ノ セイメイ テツガク

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抄録

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本稿は、バークリーの最後の哲学的著作『サイリス』(1744)に固有の哲学的枠組みを、「生命哲学」という視点から描き出し、『人知原理論』(1710)の「非物質論」哲学とは異なる諸特徴がこの生命哲学に見て取れることを示したい。その考察の焦点は、万物を賦活する「生命原理」について、バークリーが『サイリス』でいかに説明するかである。最初に、『原理』の非物質論に基づく現象主義的枠組みで生命現象がどのように説明されたかを、第60‒66 節に基づき考察する。次に、『サイリス』で生命原理とされる酸の精気、空気について順に考察し、根源的生命原理である純粋な元素的火の四つの基本的特性を説明する。さらに、これらの考察に基づいて、『サイリス』の生命原理が『原理』の説明枠組みを超え出ることを示したい。すなわち、『原理』では生命現象は現象主義的に解釈された機械論の枠組みで理解されたが、純粋な火はもはや現象主義でも機械論でも捉えられない。そして最後に、『原理』に見られるような生物の内的過程を生命現象の「記号」とする記号論的理解が、『サイリス』でも維持されるかを検討する。

研究論文

収録刊行物

  • 人文

    人文 (22), 31-53, 2024-03

    学習院大学人文科学研究所

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