解剖学実習でみられた稀な形態を有する 両側性の胸骨筋(M.sternalis)について

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  • The bilateral sternalis muscles (M. sternalis) observed during an anatomical class

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抄録

2022年度の朝日大学歯学部解剖実習において、81歳男性(死因:老衰)の胸部に、出現率6%とされる破格筋である胸骨筋が両側性かつ稀な形態で観察されたので報告する。右側の胸骨筋は長さ17.4cm、最大幅4.12cm で、腹直筋鞘前葉から起始し、胸鎖乳突筋胸骨部の起始腱、左側大胸筋鎖骨部の起始腱膜,胸骨柄前面の骨膜へ停止した。また、外側胸筋神経と肋間神経前皮枝が後面から進入した。左側の胸骨筋は長さ13.25cm、最大幅4.6cmで、内外側の二つの筋束からなり、内側の筋束は左腹直筋鞘前葉から、外側の筋束は乳頭下で大胸筋筋膜から起始し、合流して大胸筋前面の筋膜へ停止した。大胸筋停止􄼳の付近からは、筋性腋窩弓が起始し、広背筋の外側縁へと停止した。胸骨筋の後面へ進入する神経として、外側胸筋神経が観察された。本症例でみられた両側性の胸骨筋は発育良好で、先行研究と比較し、日本人に観察された胸骨筋として最長の可能性がある。また、起始と停止の位置から、胸骨筋の中でも非常に稀な形態であることも明らかになった。胸骨筋の由来として、本症例でみられた筋とその支配神経の形態から、大胸筋の一部、または他の哺乳類にみられる皮幹筋の遺残である可能性が示唆された。

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