欧州議会と欧州懐疑主義:欧州保守改革グループ(ECR)の場合

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タイトル別名
  • The European Parliament and Euroscepticism: a Focus on the European Conservatives and Reformists Group
  • オウシュウ ギカイ ト オウシュウ カイギ シュギ : オウシュウ ホシュ カイカク グループ(ECR)ノ バアイ

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抄録

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EUの欧州議会に形成された欧州懐疑主義政治グループについて、その研究状況を次の3点から概括的に整理した。第1、欧州議会およびその議会内政治グループへの研究関心。第2、(各国政治ではなく)欧州議会内の欧州懐疑主義を対象とした先行研究。第3、ソフト欧州懐疑主義と特徴づけられる欧州保守改革グループ(ECR)を取り上げた先行研究、とくにドゴール主義およびイギリス保守主義の伝統を受け継ぐユーロリアリズムと呼ばれるECRの基本理念に着目した研究。本稿は以上の先行研究に、中東欧の権威主義化の要因を探った研究と、オルバン首相による反リベラリズム的キリスト教共同体論の政治スピーチを対置した。ECRの構成メンバーに占める中東欧各国の比重が高まっているのがその理由である。それにより、一見、EU政治システムへの最低限の順応はみせているかにみえるECRの言説が、ここ10年の動向とくに直近のオルバン首相率いるフィデス党のECR参加をめぐる動きの中で、場合によっては反EUリベラリズムの色彩をいっそう強めていく可能性も含めて、今後の可変性に留意していくべきだとする視点を示唆しておいた。なお、本稿は先行研究レビューを主とするものであって、研究論文の域には達しておらず、ひとつの研究ノートに過ぎない。

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