中国・遼寧省における生乳生産・販売構造の変遷とその規定要因

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タイトル別名
  • Changes in Raw Milk Production and Marketing in a Suburban Dairy Area and Its Determinants in Liaoning Province, China.
  • チュウゴク ・ リョウネイショウ ニ オケル セイニュウ セイサン ・ ハンバイ コウゾウ ノ ヘンセン ト ソノ キテイ ヨウイン

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本論文は,中国遼寧省における生乳生産・販売の変化とその要因を明らかにする.遼寧省の特徴は,都市近郊酪農地帯であることである.酪農家の生乳生産・販売の変遷は,直営牧場型,契約牧場型,6次産業化型,消費者直接販売型の⚔タイプに分類できる.前者2タイプは生乳を乳業メーカーに販売する大規模経営で,後者2タイプは自社加工と生乳の直接販売で高い乳価を得る中小規模経営である.遼寧省の生乳生産・販売構造は,2つのルートを通じて発展してきた.ひとつは集約的で近代的な大規模経営への移行,もうひとつは消費者に直接販売する中小規模経営への移行である.大規模経営への移行は中国のすべての酪農経営に共通する要因で,メラミン事件後,乳業メーカーによる管理基準の強化によって規定された.一方,中小規模酪農への移行は,上記要因による乳業メーカーとの契約打ち切り後,都市近郊における消費人口の多さや消費者の酪農家からの直接購入志向など,直販に有利な販売環境が整ったことによる.後者は郊外の都市近郊酪農地帯特有の要因である.このことは,内モンゴル自治区だけでなく,遼寧省のような都市近郊酪農地帯においても,中小規模農家を含めた多様な酪農の余地があることを示唆している.大規模経営と小規模経営が共存する二重構造は,一定期間継続するかもしれない.

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