1896(明治29)年琵琶湖大増水時の湖水位観測,およびその信頼性

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  • 1896(メイジ 29)ネン ビワコ ダイ ゾウスイジ ノ コスイイ カンソク,オヨビ ソノ シンライセイ

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説明

琵琶湖で近代的な手法による継続的な水位観測のはじまった明治初頭以降,その記録上の最高水位は,未曾有の湖水大増水となった1896(明治29)年9月12日に鳥居川量水標で計測された+3.76mとされる。この当時,琵琶湖岸には湖を取り巻く30地点以上の量水標が滋賀県により運用されており,その記録原簿のほとんどを今も県立公文書館が所蔵する。これら半ば忘れ去られていた記録を蘇生させ,その性格や信頼性の検討を行うとともに,それら計測値に適切な0点高補正を施すことにより,当時の湖水位の時系列の精度の良い再構成が可能であることを示した。これにより,明治大増水の際の湖水位は上記の鳥居川記録より15cm程度高く,また,9月12日午後から13日午後までの間,ほぼこの最高水位の水準に留まっていたことが示唆される。この琵琶湖大増水の全体像を明らかにし,それによる被災やその要因をよりよく理解するためにも,湖水位の最高値のみに着目するだけでなく,その時系列なども含めより正確な姿を適切に把握しておくことが望まれる。

収録刊行物

  • 水利科学

    水利科学 67 (1), 35-62, 2023-04

    東京 : 日本治山治水協会

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